ゆりかごから墓場まで〜一生オタク〜

節操のない雑食オタクの雑記です。時々コスメやお洋服の話もします。

僕たち、また/アイドルがメッセージソングを出すことの意義

どうもオタクです。

SEVENTEENさんのドキュメンタリーが終わると共に、新たな一曲が公開されましたね。

 

「Us, Again」僕たち、また

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この曲が発表された時、すごく胸を温かくしてもらった気持ちになりました。

 

アイドルが考え、自らの意思表示の手段として作詞、作曲、編曲する。今でこそSEVENTEENのように自主制作することが当たり前になりつつありますが、私はアイドルがメッセージソングを出すことはとても特別で、いつになっても胸が高まるなぁと思います。

 

それはひとえに、アイドルという

「(事務所から解釈を与えられ、それをファンに届ける)1方向的、偶像になりがちな存在が、自らの1人の人間としての感情を届けてくれる」からかなと思います。

彼らには事務所から与えられた役割分担、コンセプトを守る義務がある。それは仕事の一つです。個人的な感情を露わにすることではなく、ミステリアスな存在で居続けることが、求められることが多かった(少なくとも昔は)。

 

だけどそうした普段の制約をできるだけ飛び越えて、私たちファンの所へ近づこうとしてくれる。そんな試みのように感じられて、とても特別感があるからです。

 

これまでに様々なアイドルを追いかけてきた私が、メッセージソングには、どんな種類の意義があるのか個人的に考えてみました。ここでは、冒頭のUs, Again含めて3曲紹介したいと思います。

 

1. 自分たちの過去を振り返る

5×10 嵐

嵐がデビュー10周年記念に自ら作詞を行った歌。

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「出会って数年、あれは偶然な気もするね 気づけば10年」で始まる歌詞のように、メンバー同士に語りかけるような口調で始まる。

嵐は今でこそジャニーズトップアイドルグループとして名を馳せているが、長いこと深夜番組しかレギュラーがない下積み時代があったのは有名な話。

デビュー曲こそ有名だったものの、後輩グループにドームをあっさり先越され、オワコン扱いされてたこともあった5人。ファンにはいつも丁寧で腰が低くて優しい5人だったけど、色々と方向性について議論しまくったり、それなりに悩んできたことが、今になってやっと明かされるようになった。

そういうメンバー達が、乗り越えてきたからこそ

「本気で泣いて、本気で笑って、本気で生きて、今がある 胸を張れる」

このサビの歌詞が生まれたんだろうなと思う。

 

2. 後悔、懺悔の気持ちを伝える

アイドルのメッセージは、必ずしも明るくて元気なものだけではない。辛い過去を昇華する、自浄作用もあるのだと知りました。

約束 EXO

exoの現メンバーが、脱退騒動が相次いだ直後に作詞作曲してくれた歌。特にラップ担当チャニョルが作詞した部分が胸に迫るものがあった。

「既に守れなかった約束 戻すことはできないと分かってる でも僕は一生君のそばで息をしたい 初めのように幸せになるように願って」

「we are one」がexoのスローガンであったにも関わらず、脱退が相次いでしまったことに、メンバーもファンも胸を痛めていたあの頃。一つでいるという約束を守れなかった。という歌詞です。

「いつからか君は笑っていても泣いてるみたいだった 気楽に僕を愛せなくて また思い出して懐かしがって 少し君を切なく思う」

ここで出てくる「君」はもちろんファンのこと。

ミステリアスなコンセプトのせいで、バラエティにも全然出られず発言がかなり制限されてた彼らだからこそ、この歌詞のインパクトは大きかった。

「辛くてしんどくても心が痛んでも 僕はまた舞台の上に もう一度頑張ってみるよ 待っててくれた君のために」

暗黒期は、1位をとってるのにリーダーしか歌番組に出演できなかったり、メンバーですら脱退を知らず何が起きてるか分からないと投稿してたぐらいだから、当事者の彼らにとってあの頃はどれだけきつかっただろうと思う。

「約束するよ 君が失望しないように 僕に約束して ただ君を見てられるように たくさん傷ついた君の心を 僕が必ず抱きしめてあげるから

すまないと 君を愛してると 今のように信じてほしいと 君の心が楽になるなら僕の全てを捧げるよ」

作った当時から忘れずこの歌を歌い続けてくれてる9人に感謝したいし、今でも毎回誰かが涙を流してしまうのは、彼らにとって一生背負っていく記憶なのかなとも感じたり(日本でファンが逆サプライズした東京ドーム公演の映像↑はエモかった)

それでも、出て行った子達を責めずに、戻れるなら?という質問に、「楽しかったあの頃」として12人時代をあげてくれる9人がいた。

あの時のやり場のない感情を全て歌にすることで、メンバーも救われただろうし、そのおかげで多くのファンが、辞めた子含め今も応援しているのではないかな。いつかこの曲が、彼らにとって十字架でなくなる時が来たらいいな、と思う。

 

3.ファンを勇気付ける

僕たち、また SEVENTEEN 

この曲を初めて聴いた時、大きなドームで聴いたらどんなふうに聴こえるだろうか。と思った。

そしたらyoutubeに早速、ドームで1人で聴いてる気分にさせてくれる音響エフェクト版を発見したのでぜひ。

 


まず、前提として。今まで紹介してきた曲達のように、この曲がどういうきっかけで作られたのか、わたしには知りようもない。

ワールドツアーと日本ツアーの中止が直接のきっかけなのか、それとも5周年やドームというある種の分岐点がきっかけなのか、私には判断できない。

 

でも、それこそがこの歌の良さなのではないかと私は思う。メッセージソングは、時として受け取る人によって異なる意味を持つ。悔しい思いをしたこと、ファンの気持ちを慮る心、ここまでを振り返るということ。そのどれであっても良いと思う。

 

前者で訳すとしたら、「暗い道を歩くとき」も「険しい道」も「君がもう疲れないように 僕が守ってくれる」

とそっとそばに寄り添ってくれる感じがする。行きたかった公演に行けなくなり、日々の生活が一変するようなことが起き、暗い気持ちになっているかもしれないファンを、優しく励ましてくれている。そんな温かみを感じられる歌詞。

「しばらく速度を遅らせたとしても 僕たち また会えるよ」という最後のウォヌくんのパートが、すごく印象に残っている。

 

歌詞の中の「つらく厳しい旅」はもしかしたら、ドキュメンタリー中のハードスケジュールや、その中で思うようなパフォーマンスができなかったことを指しているのかもしれない。でもそれを彼らは「成長痛」と表現することで、これまでも沢山、試練を乗り越えてきたのかもしれなかった。

 

SEVENTEENは、最初から親しみやすさをある種ストロングポイントにしてきたグループだと思っている。だからこそ、グループの知名度が高まり大きくなるにつれ、忙しくなるスケジュール、なかなか会えないと感じる機会が増えるファン、彼らを「遠い存在」のように感じるファンも増えて行ったのではないだろうか。(特に韓国で応援しているファンは)

 

そんな、言葉にできない漠然とした不安を、自分たちも感じていて、でも心配しないで、これまでと変わらず「僕たち」はずっとそばで共に同じ道を歩んでいる。という普遍的なメッセージを、彼らは与えてくれた。

 

「もしも何かがあっても僕たち また会おう」

 

彼らが、ファンの感じている1番の不安を、曲を通じて答えをくれ、取り除いてくれた。そんな気持ちになる歌だった。(そしてちゃんとそのすぐ後にカムバのお知らせをしちゃうんだからずるい。)

 

こんな風に、これからもアイドルのメッセージソングは、ファンとメンバー達をお互いに支え導く羅針盤のような存在であってほしい。と思った次第でした。